2005年07月08日

構想7日・抗争?香草?

「まちやがれっ!」

「この泥棒猫が!」

大声を張り上げながら走る男達。その先にはブロンドの女が一人足音もなく駆けている。
捕まるのは時間の問題だった。まるで別の生き物のように揺れるブロンドのテールは、先程から喚き散らしながら迫ってくる男のすぐ先でたなびいている。

ジャジャッジャァッ

女は突如路地に逃げこんだが、視界が切り替わるとそれが間違った選択だったことに気づいた。

――行き止まり

女が呆然と立ち尽くしていると、程なく男達が追いついてくる。

「随分手間ぁ取らせてくれたな。俺たちのシマでナメたまねしやがってタダで済むと思ってんじゃねぇぞ」

男は3人。一見して下っ端とわかる真っ黒な髪の男と、グレーの短髪の男。あめりかという所で流行っていると、仲間に自慢していた。
怒号をあげたのは黒い男だったが、女はその後ろに控える茶髪の男に注意を集中させていた。
何も知らない者ならば、男の白髪が程よく混じったその容貌を、端正と評し喜ぶかも知れない。
しかし、男の瞳孔がすいっと、細くなる様を見れば、誰しも恐怖にかられ近づいたことを後悔するだろう。

そう、この女のように。

「これから先は事務所でやろうや」

黒い男がこちらに近づいてくる。

女に抗う術は残ってなかった。生きるためになにもかも捨ててきたこの女に残された物は、残飯あさりも喜んでやる生き延びる為に研ぎ澄まされた魂と、手入れされていない爪だけだった。

あの人は爪を研がなくていいと言っていた。我慢できずに爪を研いだ私を叱りすらした。その後で必ずあなたは私のことを愛撫してくれてこう言ってた。

「君はずっとこうしていればいい。爪など研がなくても僕がいる。ずっと」

あなたはどこまでも優しかった。

でも、

こんな爪じゃこいつらの顔に突き立てることもできないじゃない!


女の叫びは声にはならなかったが、答える者がいた。


その男が口を開く。


「ニャれニャれ。雌一匹に大の雄が三匹もよってたかって。恥ずかしくニャいのかい?」

「ニャに者ニャ!」

黒毛に白毛、いや、白毛に黒毛模様の男は誰何の声にも動じないどころか、薄笑いさえ浮かべている。

「ニャにがおかしい!」

「いやニャに、オレが少し留守にしてる間に随分と世間しニャずが増えたニャと思ってね」

「ニャんだと!?」

「ニャらずものにはニャらずものの流儀ってのがある。雌を大勢で追い回すなんざ、わんこ以下だニャ」

黒猫とアメリカンショートヘアーは耳を後ろ向きにして背中の毛を逆立てているが、白に黒ブチの猫はしっぽを太くしてもいない。

「ニャらずものの流儀ねえ」

それまで沈黙を守っていた茶虎の猫が発言すると、それまで喚き散らしていた子分2匹が口をつぐむ。あきらかに彼らは声ではなく他のなにかに戦慄していた。恐らくはあの瞳孔がナイフのように縮まるその気配に。

「みせてもらうか、ニャらずものの流儀ってやつを」

茶虎の猫の台詞が終わるのと同時に黒猫と外来種の猫がブチに踊りかかる。

ブチの目が怪しく瞬いた次の瞬間。

ミギャァー!フウゥ!フギャー!

!!!!!



そして。



ボロボロのブチがマタタビの葉を差し出しながら土下座していた。
「…ニャにとぞ、これで勘弁して下さい」

3匹は口々にブチを罵りながら去っていった。

「あの…」

「ケガはニャかったかニャ」

「はい、いやあの」

「それはニャにより。いえ、礼にニャ及びません」

「いやあの…」

「ニャあに、当然のことをしたまでのこと。しかし奴ニャネコキックまで使うとは。サスガの僕も少しだけピンチにニャりましたな。まあ少しだけですが」

ヒゲがあさっての方向に向いているブチはそう言うと、ばいニャらと、近くの塀づたいに去って行くかに見えたが、

途中で塀から落ちた。

一匹残されたミケはいつまでもその場で立ち尽くしていた。


出演:
ミケ ステファニー
黒猫 平吉
アメショー ランデル(本名則男)
茶虎 マイケル(雪の丞)
ブチ ミー


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posted by なりっと at 22:20| 東京 ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | たまには昔の話を | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
次回作は「君のニャ(名)は」でお願いします。
Posted by sivaxxxx at 2005年07月09日 01:40
ああっ、これは全9作のうちのエピソード4ですね。
となると、次回作はエピソード5「ブチの逆襲」ですね。
壮大なにゃん・わん・ワールド・オペラを期待しております。
テーマ曲にはクイーンなんか良いかも知れませんねっ。
Posted by at 2005年07月09日 14:41
>シヴァさん
うお、そーきましたか。
「ニャーシネマパラダイス」か「素晴らしきかニャ(哉)、人生」
も捨てがたいので、ニャや(悩)んでます。
Posted by なりっと at 2005年07月11日 21:55
>鰹さん
ブチのモデルは昔ウチにいた猫なのですが、弱いくせに喧嘩ばっかりして、雌を追いかけまわしてました。
テーマ曲はなめ猫にオファーを出してしまいました。
Posted by なりっと at 2005年07月11日 21:55

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